日本の避妊事情
ピル以下の避妊法は、一生の間一度も失敗しない可能性が高い。これが近代的避妊法といわれるゆえんです。先進国の多くは、近代的避妊法が6割から8割の普及率となっています。
一方、日本では近代的避妊法の普及率は数%に過ぎません。日本と欧米先進国の間には、非常に大きな落差があります。
この違いが生じる原因については、さまざまな見方ができるでしょう。日本滞在歴8年になる友人の見方を紹介してみましょう。
彼女の見方を一言でいえば、コンドームが消極的に選ばれているのが日本だということになります。
まず、近代的避妊法の選択肢が非常に少ない。ピルや銅付加IUDがやっと認可されたけど、ずっと日本にはその選択肢がなかった。ほかに選ぶものがないから、コンドームを使わざるを得なかったのだというわけです。
次に、費用。コンドームと近代的避妊法のコスト差が大きすぎるというのです。たとえば、ピルとコンドーム。彼女の国ではピルとコンドームに費用の差はほとんどないといいます。近代的避妊法のコストをこれだけ割高にすれば、だれでも仕方なくコンドームを選ぶんじゃないかしらというわけです。
三つめに、偏見。近代的避妊法パッシングには辟易だとか。彼女のことば。「だって、おかしくありませんか?マイルーラはSTDの検査が必要だなんて言わないでしょ。なのにピルやIUDになると、なぜSTDの検査が必要なの?これは近代的避妊法いじめですね。」ちなみに、ピル=副作用と思っている日本人がたくさんいるのは、信じられないとのことです。
四つめに教育。日本ではまともな避妊教育が行われていない。コンドームの付け方さえ教えていないのではないですか。知らない、知らない、の中でコンドームが選ばれているのではというわけです。
私は、なるほどと思いました。近代的避妊法については、「少ない.安くない.よくない.知らない」という状況があるように思います。
では、なぜ日本では近代的避妊法が選ばれにくいこのような状況が、作られてきたのか?これが問題なのだと思います。